頭頸部は、摂食、会話、呼吸といった生活に重要な機能を担う器官が集まっています。
頭頸部がんの手術によって広い範囲が切除された場合は、欠損部分に体の他の部分の組織(皮膚、筋肉、骨、小腸、神経など)を移植して修復するのが、再建手術の役割です。
再建手術の方法は、切除される部位や範囲によって異なりますが、最近では遊離組織移植という方法で修復するのが一般的です。これは移植組織の血流を保つために、顕微鏡下に血管吻合を行う方法です。
舌がんの再建術の例

日本頭頸部癌学会ホームページ「頭頸部がんの切除手術・頭頸部の再建術」より作成
手術を受ける方に
口やのどの手術をすると、「食べる」「話す」といった機能に影響が及ぶことがあります。
術前から、また、術後の安静期間が過ぎたら、のどをなるべく使って、積極的に機能を回復させる練習をしましょう。
- 飲み込みが悪くなった場合
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よく噛んで、ゆっくり少量ずつ飲み込むようにしましょう。
- 舌の手術をした場合
- 食べ物を送り込みにくくなったり、発音しにくくなることがあります。機能低下を補うために、舌の付け根の方に食べ物を送り込んだり、口や頬を動かすなどリハビリを始めましょう。

- 喉頭を手術で摘出した場合
- 喉頭をすべて摘出して発声機能が失われた場合は、食道を震わせて声を出す「食道発声」や、「電気喉頭※」、「シャント発声」などの器具を使って声を出す方法があります。
※小型マイクのような器械を皮膚に当てて使う発声装置です。

まるごと図解 摂食嚥下ケア, p112-113, 照林社, 2017
国立がん研究センターがん情報サービス「喉頭がん・リハビリテーション」
監修:東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 主任教授
塚原 清彰 先生